就職して三年目の秋、ウラジオストックからロシア人の研修生が3人、わが社にやってきた。
そのうちの一人は、分厚いレンズのメガネを掛けた、まさに日本では絶滅寸前のオタクタイプ(あのホーキンス博士にそっくりだ)。もう一人は、韓国人とロシア人のハーフで、大学を出たばかりの女性(「なごり雪」を歌うイルカに似ている)。そして最後の一人が、26歳で既婚、しかも子持ちのアナスタシア(仮名)さんだった。
詳しく書けばバレるかもしれないが、うちの会社は本社レベルでロシアの資源開発に関わっていて、向こうの政府ともいろいろなコネクションやら利権やらが絡み合っている。とにかく、その3人はウラジオストック市から給料も研修費もこちら持ちの、まさにODAのお客様だったのだ。
ホーキンスは開発部門に、韓国イルカはデザイン室に、そしてアナスタシアさんはオレが所属するシステム開発部門で、それぞれ研修を始めた。総勢20人ほどの部署だが、このご時世、“仕事量>人数”なのはどこも同じ。みんな忙しく、なおかつ「残業禁止!」という妙な空気も漂っていたため、アナスタシアさんの面倒を見る役目はオレに回ってきた。
これが別に苦にならなかったのは、アナスタシアさんが美人だったからだ。金髪、白い肌、ナイスバディ――日本人が「若いロシア人女性」と聞いて思い浮かべる典型的なイメージそのままの彼女は、青い瞳を輝かせながら研修に真面目に取り組んでいた。オレは異様に盛り上がるシャツの胸元や、タイトスカートから覗くムチムチの太ももを視界の隅に置きつつ、人生で最高と言ってもいいほど親切に彼女に教えていた。
今振り返ると、この時アナスタシアさんに良い印象を与えたくて必死に勉強したことが、後々の仕事の上達に繋がった気がするが、それはまた別の話だ。
一ヶ月も経たないうちに、オレとアナスタシアさんはだいぶ親しくなった。
彼女はダンナや2歳の子供の写真を見せてくれた。アナスタシアさんの夫は、なんと海軍の工場で働いているらしく、そもそもこの研修も彼が来る予定だった。しかし、どうやら「海軍関係」というのがまずかったらしく、結局研修を受けることができず、妻であるアナスタシアさんがその枠を引き継いだということだった。
オレには国際情勢なんて分からないが、日本でシステム研修を受けて、日本語が少しでも使えるようになれば、彼女のキャリアには相当おいしいという話だ。もらえる給料も全然違うし、今もらっている研修費と給料だけでも大助かりだとアナスタシアさんは言う。そんな話を聞きながら、オレはワンルームマンションに帰った後、彼女のナイスバディで妄想にふける毎日が続いていた。
そしてある金曜日、アナスタシアさんが珍しく暗い顔をしていた。
その日は何度もミスを繰り返し、ロシア語で画面に悪態をついていた。心配になったオレは彼女をお茶に誘い、話を聞いてみると、どうやら夫が熱を出してしまい、日本に来る予定が一週間遅れることになったらしい。
「子供に会いたかったんですよね。残念ですね」とオレが言うと、アナスタシアさんは怒ったように、「子供にも会いたいけど…セックスできないんです!」と、結構大きな声で言った。オレは驚いて周りを見回したが、他に客がいなかったのでほっとした。
「せ…セックス、ですか…」
「ウラジオストックにいる時は毎日してました。私もロジョンも若いです。毎日しても足りなかったです…もう1ヶ月もしてないのに」とアナスタシアさんは続けた。
想像もしなかったセリフに呆然としているオレを睨みながら、彼女はさらに追い打ちをかけるようにこう言った。
「1ヶ月もセックスの相手をしない…結婚相手失格だと思いませんか?」
オレは動揺しつつも、「それは、あの…ダンナさんも同じでは…」と恐る恐る反論した。
「違います。ロジョンがそれだけ我慢できるはずがありません。熱を出したくらいで来ないなんてあり得ません。絶対に他でセックスしてます。ウラジオストックにはそういう店がたくさんあります!」と、綺麗な眉をつりあげて怒りを表に出していた。
職場に戻っても、アナスタシアさんのイライラは収まらないようだった。
オレの頭の中には「欲求不満ってことか…ということは…でも外国人だから何を考えているのか分からないし…」と、混乱した考えがぐるぐる回っていたが、結局考えがまとまらないまま退社時間が来てしまった。
オレは思い切ってアナスタシアさんに、「週末、もし予定がなくなって暇なら、ドライブとか行きませんか?ダンナさんに怒られるかな?」と誘ってみると、なんと彼女は軽くOKしてくれた。
次の日、オレは会社の人間の目を気にして、県庁所在地の駅で待ち合わせ、レンタカーで迎えに行った。
アナスタシアさんは地方都市では目立つ存在だ。職場の仲間と数人で出掛けたことはあったが、二人きりで会うのはもちろん初めて。オレは異常に緊張していたが、アナスタシアさんは年上&既婚者らしく、いつも通り明るく楽しい彼女に戻っていた。
市街地を離れ、紅葉や湖を見に行ったが、オレの視線は彼女の白いタートルネックのセーターを押し上げる胸や、ジーンズに包まれた太もも、白い足首、やわらかそうな唇ばかりに吸い寄せられていた。観光どころか、アナスタシアさんが腕を組んだり腰に手を回したりしてくるたびに、オレの頭の中と下半身はどうしようもなく混乱していた。
夕方、日暮れの紅葉を鑑賞し終えた頃、オレたちは住んでいる町に向かっていた。
ワインを飲んで白い肌に赤みが差してきたアナスタシアさんが、助手席からオレの左手を握りしめてきた。
「サトル、分かりますよね?」と、彼女は突然、名前で呼んできた。
「え?な?何?」と、突然の呼び方に戸惑うオレ。
「今日は楽しかった、ありがとう。でももっと楽しいことができるでしょう?」と、アナスタシアさんはすっかり上達した日本語で、不敵な笑みを浮かべた。
オレはそのまま高速を次のインターで降り、ラブホテルに向かった。
部屋に入ると、アナスタシアは珍しい物に興奮していた。冷蔵庫やプレステ、大人のおもちゃが並ぶ広いベッド、さらには天井に取り付けられた鏡(地方都市のラブホテルは意外におしゃれだったりする)を一つ一つ見て、声を上げて感心している。その姿に、25年間童貞を貫いてきた俺は、初めてラブホテルの中に入ったことの緊張で口がカラカラに乾いていた。金髪のロシア人人妻という奇妙な運命を思いながら、ベッドの端に座って待っていた。
アナスタシアが俺の隣に座り、「アナスタシアのこと、嫌い?」と顔を近づけて訊ねてきた。俺は日本人には滅多にしない大きな手振りを交えながら「大好き、えーっと・・・ヤーリブリュー・・チヤー・・・」と慌てて答えると、アナスタシアはにっこり笑いながら「любимый мой(私のお気に入り)」と言ってキスをし、「シャワーに行きます」と言ってお風呂に向かった。
「これ・・・ガラス?・・日本人すごいですね」
ガラス張りの部屋の構造に驚きながら、アナスタシアはセーターを脱ぎ、水色のブラを外し、ジーパンを脱ぎ、最後にパンツを脱いでシャワーを浴び始めた。予想通り、いやそれ以上に完璧な胸、色白の肌、セミロングの金髪、引き締まったウエストに豊満なヒップ、ムチムチの太ももが目の前に広がっていた。俺は自分がどうしようもなく興奮しているのを感じながらも、頭の中では「海軍・不倫・国際問題・謝罪・慰謝料・仕事・子供・・・」といった考えが渦巻いていた。しかし、その考えもアナスタシアがバスタオルを巻いて恥ずかしそうに出てきた瞬間に消え去った。
「やりたい・・・やれる・・・」
「ぼ・・僕もシャワー・・・」と言いかけると、アナスタシアは俺を押しとどめて抱きつき、「男の人・・匂い、大事です・・」と囁いた。電気を消さずに、ベッドにアナスタシアを押し倒し、慌ててシャツを脱ぐ俺。バスタオルを取り去ると、赤ちゃんを育てたとは思えない完璧な胸、透き通るような白い肌、そして手入れの行き届いた黒い脚の間が俺の目の前に広がっていた。アナスタシアは、会社では見たことのないほど魅力的な目をしながら、ジーパンの上から俺の股間をさすり始めた。興奮のあまり、ベルトを外すのに苦労していると、アナスタシアは細長い指でベルトを外し、立ち膝になった俺からジーパンを脱がせ、トランクスを下ろしてくれた。アナスタシアは俺の反応を見て、小声のロシア語で何か言うと、下になったまま左手で軽く俺を握り「カタイですね」と笑った。
これ以上動かされると暴発の危険があったので、とにかくアナスタシアの胸にしゃぶりつき、太ももをさすり、腰を揉み、首筋にキスをした。しかし、経験が乏しく、どこをどうすればよいのかが分からず、手詰まり状態になってしまった。
アナスタシアも息が荒くなっていたが、さすがに気づいたらしく、「サトシ・・・。その・・・。ヴァージンですか?」と直接的に尋ねてきた。俺は動揺しながらも「ニエット・・。ヤ・・ニ・・ナーダ・・・。でも・・えっと、アマチュアバージン・・・違うな・・・」と混乱していたが、ここは観念して「ダー」と答えた。
25歳で童貞というのは、国際的に許されることではないだろうと思った俺は、ここまでかと思ったが、優しいアナスタシアは「キンチョウしますね」と笑いながら俺を押し倒す形で上に乗ってきた。その優しさが、アナスタシア自身の辛抱たまらない状態なのかはわからなかったが・・・。
上になったアナスタシアさんは俺の胸やおなかにキスをしながら、俺のをゆっくり左手でしごく。
何このホテヘル状態・・・。
ものすごく気持ちいいけど、日本男児としてこれでいいのか?ジャパンマネー?
天井の鏡には、色黒の俺の体をまさぐる、この世のものとも思えない白い肌と、綺麗なブロンドのアナスタシアさん。
アナスタシアさんの小さい顔が俺のに到達、こっちを見て少し笑って、柔らかそうな唇で先を咥えた・・・やっぱり柔らかかった。
ブロンドをかきあげながら、ゆっくり俺のを咥えて、頭を上下に動かして、時々俺の顔を見て笑うアナスタシアさん。
何コレ?外人って勝手なセックスするって週刊PBにかいてあったぞ・・・。
ロシア人は違うの?俺の魅力?ジャパンマネー?
いかん・・・このままでは口に暴発する・・・。
俺はアナスタシアさんを止め、強引に再び押し倒し、記憶の片隅にある場所へいきなり突入しようとした。
驚いたアナスタシアさんは、俺に押さえつけられながら、「コンドーム・・・ラテックス?」と訴えるような青い目だ。
慌てて俺はリュックから昨日買った、封も開けていない箱を取り出し、ベッドに急いだ。
アナスタシアさんは「ヨウイシテマスネ・・ナゼ?」と笑っていた。
俺も笑って誤魔化しながら、つけようとするが、さすが素人童貞。自分がつけれるわけがない。
(後、俺のが比較的大きいから入りにくいことが判明・自慢)
もたもたしてると、またまた下から白くて細い指が俺のを包み、しっかりと装着してくれた。
その指に導かれて、アナスタシアさんの中に・・・。
今考えたら、前戯もなく、ゴムをかぶせてつっこまれたアナスタシアさんも大変だったのでは、と思うのだが・・・それから後も恥ずかしくて聞けずじまい。
そのときは余裕もなく、どんどん挿入した。
久しぶりのせいなのか、俺がご主人より大きいのか(笑)にゅるっと入っていくときには俺の二の腕を掴んで、小さく悲鳴を上げ、綺麗な眉をひそめたアナスタシアさん。
白い肌と揺れる胸、俺の腰に絡みつく白い太もも、俺の下で小さく声を上げ続ける青い瞳の綺麗な顔。
経験値0の俺は、再び逆上して、始めっからハイペースで腰を動かす。
力の加減もわからず手のひらに余る胸をわしづかみにしたり、男の俺がうめき声を上げたり、いきなりキスをしたり、ご主人と毎日していたアナスタシアさんにはしごく迷惑なセックスだったかもしれない。
それとも“溜まっていた”アナスタシアさんにはちょうど良かったのかも。
1回戦は当然早打ち。
そのあと、結局お泊まりになり、アナスタシアさんが上になったり、俺が大きなお尻を抱えて後ろから攻めたり、文字通りやりまくり、チェックアウトは寝坊して昼の1時になったくらいだった。
帰りの車、心なしか肌がつやつやしてるアナスタシアさんを見ていると、再び俺のジーパンを突き上げる衝動が・・・。
思い切ってまたホテルに・・・と言うと、困った顔で「Menstruation・・・(月経)」と。
英語かロシア語か一瞬分からなかった俺に、みぶり手振りで説明してくれて、やっと理解できた。
がっかりした顔をみせない(つもりで)、笑って「ジョークジョーク」と言うと、アナスタシアさんはマンションに連れて行ってほしい、という。
正直会社の人間に見られてももういいやくらい、アナスタシアさんの・・・というより、初めての素人女性の体にトチ狂っていた俺は、自宅のワンルームにアナスタシアさんを連れ込んだ。
二人で買い物をして、食事を作り、最後にアナスタシアさんは手と口で何回も抜いてくれた。
どろっと手についた精子を舐め取る様子がエロすぎたので、襲いかかって四つん這いにさせて打ち止めになるまでヤリまくった。
まさに至福の時間だった。
とりあえず、彼女との関係はこんな風に始まりました。