宮崎の夜は湿気と潮の匂いが混じる。橘通りのネオン街は観光客でにぎやかだが、俺は人混みが苦手だ。二十三歳、地元で派遣社員をしている。普段は無口で目立たない。女に声をかけるなんてほとんど無理だ。
でも、心の中ではずっと同じことを考えていた。人妻を寝取って、自分のチンポで支配してやりたい。旦那を裏切らせ、俺だけに腰を振らせる。その妄想だけで生きてきた。
その夜も一人で小さなバーに入った。カウンターに座ると、マスターが俺に軽く頷いた。何度か通ってるから顔は覚えられている。
「隣のお客さん、地元の方ですよ」
マスターがそう紹介してくれたのが、瑞穂だった。
二十八歳。専業主婦。白いブラウスにデニム、派手ではないが目を引く。胸は普通だけど、尻のラインがいやらしくて、一目で勃起した。
「こんばんは」
「こんばんは」
俺は短く返しただけ。普段通りならそれで終わるはずだった。
けど、酒が進むうちに瑞穂が口を開いた。
「主人が飲まない人で…家ではひとりで退屈なんです」
「そうなんですか」
俺は相槌を打ちながら、心の中で舌なめずりした。旦那が家にいてもつまらないから、こうやって夜に外へ出てきている。そういう女は、少し押すだけで簡単に堕ちる。
俺は多くを喋らなかった。ただ、黙って耳を傾けるだけ。陰キャで会話下手な俺でも、それが「聞き上手」に見えたらしい。
「あなた、静かで落ち着いてますね」
「……そうですかね」
「安心する」
瑞穂の警戒心が、少しずつ解けていくのが分かった。
店を出ると、偶然にも帰る方向が同じだった。
「うち、この先なんです」
「じゃあ途中まで一緒に」
自然に横に並んで歩くことになった。橘通りのネオンが遠ざかり、湿った夜風が体にまとわりつく。
「こうして夜に外を歩くの、久しぶりです」
「いいですね。息抜きになります」
「主人はいつも家にこもってるから…」
旦那に不満を抱えた人妻が、俺の隣で寂しそうに笑っている。俺は心の中で確信した。この女は必ず堕ちる。
ホテル街の角に差し掛かったとき、俺は言った。
「寄って行きます?」
「だめ…絶対だめ」
「帰りますか」
「……少しだけなら」
その瞬間、俺の奥底に眠っていた支配欲が爆発した。
部屋に入ると、瑞穂はバッグを抱えたまま落ち着かない様子で立ち尽くしていた。
「どうしてこんなことに…」
「俺に会いたかったからでしょ」
「違う…でも…」
唇を奪うと、抵抗は一瞬。すぐに舌を絡めてきた。
胸を揉み、尻を掴む。腰を震わせながら瑞穂は小さく声を漏らす。
「だめ…でも気持ちいい…」
俺の心の声は止まらない。この女は必ず俺の精液で満たされる。
瑞穂からLINEが来たのは、バーで初めて会った二日後の夜だった。
《この前はありがとう。でも…もう会っちゃだめだよね》
文章の最後に「笑」とか絵文字もない。迷っている女の典型的な書き方だった。俺はしばらく既読をつけず放置した。
一時間後。
《やっぱり、もう一度だけ会えますか》
笑いを堪えるのに必死だった。
一度だけ。人妻がよく使う言い訳。結局は欲望に負けて俺に会いたいだけなのに、自分に言い訳しているだけだ。
《いいですよ。宮崎駅の近くで待ってます》
駅前のカフェで落ち合った瑞穂は、ワンピース姿だった。清楚に見える服装なのに、腰の丸みで尻の存在感が隠せていない。
「ほんとに今日で最後にしますから」
「分かりました」
「主人には“スーパーに買い物行ってくる”って言ってあるので、夕方までなら大丈夫」
旦那に平然と嘘をついて、俺に会いに来ている。俺は心の中で舌なめずりした。
こいつはもう堕ち始めている。
二人で橘通りを歩いた。土曜の午後、人通りは多く、観光客の声が響く。俺は普段無口だから余計なことは言わない。ただ、瑞穂の話を聞くだけ。
「主人は家にいることが多くて…外で誰かと話すの久しぶり」
「そうなんですか」
「だから、あなたと話すと新鮮で」
静かに聞くだけで、瑞穂の表情は和らいでいった。女は自分の話を聞いてくれる相手に弱い。俺はただ相槌を打ちながら、頭の中で「このあとベッドでどう鳴かせるか」を考えていた。
ホテル街の角に差し掛かった時、俺は立ち止まった。
「ここ、寄っていきます?」
「…だめです。ほんとに」
「帰りますか」
「……少しだけなら」
前と同じ言葉。これで二度目だ。もう“最後”なんて通じない。
部屋に入ると、瑞穂はワンピースの裾を握りしめていた。
「ほんとに…おかしいよね、こんなこと」
「俺に会いたかったんですよね」
「違う…でも…そうかも」
唇を重ねると、すぐに舌が絡んできた。ワンピースを脱がせると、ベージュの下着が濡れ染みを作っていた。
「もう濡れてる」
「ちがっ…やだ…」
「旦那のこと考えてます?」
「考えてない…あなたしか…」
胸を揉み、指で割れ目をなぞると、瑞穂はシーツを握って声を殺した。
「だめ…でも…気持ちいい…」
「正直に言ったら楽ですよ」
「…もっと欲しい」
俺は一気に突き入れた。
「んあぁぁぁぁっ!!」
瑞穂は絶叫し、背中を反らして痙攣した。尻肉が跳ね、膣が俺を締め付ける。
対面座位に変えると、瑞穂は俺の首に腕を回しながら腰を振った。
「好き…好き…でも、だめなのに…」
「旦那のこと忘れてるでしょ」
「忘れたい…あなたでいっぱいにして…!」
俺の頭の中は狂ったような独白で満ちていた。
同僚の嫁でも、友人の嫁でもいい。旦那が汗流して働いてる間に、嫁は俺の上で尻を揺らしてる。その背徳感がたまらない。
「出すぞ」
「だめ…でも…欲しい、中に…!」
奥まで突き上げ、一気に注ぎ込む。
「ひぁぁぁぁぁっ!!」
瑞穂は絶叫し、涙を浮かべて痙攣した。
「もう、良すぎるでしょ…?」
瑞穂は気だるそうに髪をかきあげながら、小さな声で呟いた。
日曜の昼下がり、瑞穂からLINEが届いた。
《主人は今日は県外に出張で遅くなるから、少しだけ会える》
少しだけ。もう何度聞いたか分からない言い訳。結局、旦那がいないと寂しくて、俺に縋りついてくるだけだ。俺は短く返信した。
《分かった。橘通りで》
ホテルの部屋に入るなり、瑞穂は俺に抱きついた。
「会いたかった…好き、好き…」
「……」
俺は黙って唇を塞いだ。舌を絡め、胸を揉むと、彼女の体はすぐに震えた。
ベッドに押し倒し、スカートをまくり上げて下着をずらす。もう濡れていた。
「なんで…こんなに濡れるの」
「好きだから…あなたが好きだから…」
突き入れると、瑞穂は悲鳴のような声をあげて背中を反らした。
「んあぁぁぁっ!! 好き、好き…あぁ、好きっ…!」
俺の腰を両手で掴み、必死に奥を求めてくる。
バックに体勢を変え、尻を突き上げさせる。
「だめ…奥まで当たって…でも好き…! あぁ、好きなの…!」
パンパンと音を立てるたびに、瑞穂はシーツを握りしめて絶頂に近づいていく。
俺は無言のまま尻肉を叩きつける。
心の中では嗤っていた。
旦那に尽くすはずの嫁が、俺のザーメンに溺れて「好き」と叫んでいる。恋だと思い込んで、実際はただの依存。俺の精液に縛られた牝。
「出す」
「お願い、中にちょうだい…好き…好き…!」
奥まで突き上げ、一気に注ぎ込んだ。
「ひぁぁぁぁぁっ!!」
瑞穂は絶叫し、痙攣しながら果てた。
汗に濡れた体を重ねたまま、彼女は俺の胸に顔を埋めて囁いた。
「これからも…会ってくれるよね。だって、好きになっちゃったんだもん」
俺は答えずに頭を撫でた。
窓の外では宮崎の市電のベルが響き、青島方面に向かう観光客の声が遠くに聞こえた。
瑞穂は「スーパーに行ってきた」と言い訳しながら、また会いに来るんだろう。
もうこいつは、俺の女だ。